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理事長挨拶&プロフィール

はじめに

私が言語教育に携わることの入り口となったのは、1986年頃、娘が通っていたニューヨークの学校で実施されていた国際バカロレアプログラム(IBDP)に対応した津田和男教諭による感動的な日本文学の授業との出会いでした。それは、日本では受けたことのない全く違うものでした。授業内容、そして目指すところ、さまざまな視点を生徒から引き出し、生徒のディスカッションでより理解を深める。さらにその解釈を劇で演じ新たな解釈へと生徒が伸びていくというシステムも含め、授業を分析して是非日本の子どもたちに体験させたいとの思いから日本語教師になろうと決めたことが始まりでした。

[その授業内容が母語継承語バイリンガル教育(MHB)研究紀要2号(2006)に掲載されました。]



ニューヨークで教えている国際結婚や国外で生まれ育った子ども達は、母親の言語、父親の言語、学校言語、社会言語と多い子どもは3〜4言語の中で生活をし、アイデンティティ確立に揺れ動いています。そのような状況の中、多言語多文化の中で育つ子どもたちの学習向上を支援することの大切さ、また外国語としての言語・文化教育の大切さ、それに携わる教師への支援は欠かせないものであるとの思いから、米国北東部日本語教師会(NECTJ)会長津田和男氏を中心としてニューヨークにNPO法人Movement for Language and Culture (MLC)を2009年5月に設立しました。それまで津田氏と島野雅俊氏が手がけてきた中学・高校生用教科書及び教材の開発出版を継続して発展させつつ、新たな取り組みとして生徒の日本へのボランティア活動を含むプロジェクト旅行を実施するようになりました。


長野での国際キャンプ活動   www.campnamiai.com
私と舛谷フレミング麻美氏が日本での教育活動の一つとして、国内外の多言語多文化環境で生活する子どもたち(小学3年〜高校生)を対象に、長野県なみあい村でサマーキャンプを体験する国際キャンプとして、2005年から開催してきました。このキャンプでは、日本語を共通言語として世界各国から集まる子どもたちが一ヶ月間、長野での暮らしや地元の小中学生や地元の人々とのつながりを通して日本語力を高め、日本文化を体験学習します。そして、キャンプの中のプログラムを通じて、メインテーマである「自分自身が世界の出来事とどのようにつながり、自分には何ができるのか」ということを感じ取り、自律して考える心を子どもたちが持つことができるように支援してきました。2011年は、3.11東北大震災による影響に対し、自分たちにできることをしようとキャンプに参加予定の海外在住の子どもたち(リピーターが多い)が、「Kids for Kids」(「子どもが、子どもを助ける」)を合い言葉に、子どもたち自身の活動として、被災した子どもたちをキャンプに招待する活動を行いました。募金集め、ネットワーク作り等活動は多岐に渡り、MLCとして支援する部分もありましたが、子どもたち自身が企画し、取り組んだこの活動により、実際に4名の被災児童生徒を長野なみあい国際キャンプへ招待することができました。被災地から参加した児童たちは、多言語多文化環境から参加しているキャンプの子どもとの交流・体験を通じて、みな目を輝かせ、世界につながる未来が視野に入ったことに驚き、喜ぶ言葉を残していきました。


子どもにはパワーがあります。キャンププログラムのコンセプトである「自律する心」を通じて子どもたち自身が発案した「Kids for Kids」を実現させ、「話し合い、助け合い、協力し合う一人一人の小さな行動が世界を変化させることを意識し、一歩踏出せることが大切だ」というコンセプトを子どもたち自身が理解し、行動できたことに対して、大きな成果と手応えを感じています。また一方で、それは日本にいる子どもたちを多言語多文化環境へ導くことによっても「自律した心」を学ぶことができるベクトルがあることにも気づきました。そして、日本語教師になろうと決めたときに描いた夢がいよいよ近づいてきました。


NPO法人MLC Japan設立
 

未来をになう子どもたちがグローバルに活躍できるように

これまでMLCは、日本国外で、日本語を外国語として学習する生徒や日本語を母語として多言語多文化環境にある子どもたちを対象に、日本語や日本文化を学ぶという形で活動してきましたが、「Kids for Kids 2011」を通じ、多言語多文化環境を通じて「自律する心」を養うというコンセプトは、未来をになう子どもたち全てに効果があることを実感し、その対象を日本国外在住の子どもたちに限らずに活動していくことの可能性を強く感じました。


そこで、日本でも活動できるよう、2012年6月にNPO法人MLC Japanを設立いたしました。今後は、MLC Japanの活動を通じて、日本在住の未来をになう子どもたちも対象に、「自分自身が世界の出来事とどのようにつながり、よりよい世界のために自分には何ができるのかを考えられる自律した子どもが育つように」、また「グローバルに活躍できるように」を支援するための言語教育、その他教育支援活動や各種事業を、ニューヨークのMLC本部と連携しながら展開していきたいと考えています

博士論文の完了&出版

Japanese Mother Tongue Program in an International School: A Case Study」を完了し、ProQuest LLC. Ann Arbor MI より出版いたしました。

Cape Chameleon Online Magazine に南アフリカの多言語政策に関する記事掲載

https://capechameleon.co.za/the-impact-of-language-policy-in-south-africa/

The Impact of Language Policy in South Africa: The Gap Between Education Goals and the Government’s Multilingual Mission

 

2018年から活動拠点をニューヨークから東京に移動しました。さらに地元地域での活動も含め展開していきたいと思います。

大山全代プロフィール

 

New York University: TEOSL & Japanese Language Teaching(dual major) 修士を取得し、国連国際学校で日本語教師として1年勤務。その後、Fordham University: Language, Literacy, and Learning Ph.D. プログラムに在籍しながら、アフタースクール日本語母語クラスで教鞭をとり、博士論文を完了した。2018年1月に拠点を東京に移す。

全米日本語教師会会員(ATTJ)、米国北東部日本語教師会会員(NECTJ)、母語継承語バイリンガル(MHB)学会会員、全米外国語教育学会(ACTFL)にて継承語教育実践を多数発表。

大山全代の発表活動

 

2020年​

・1/7〜19日 

南アフリカ絆プロジェクト開催ケープタウンのタウンシップ 在住の大学一年生1名を東京に招聘し高校3校(地域で国際学生会議を主催している公立校、日英イマージョン校、インターナショナル校)で南アフリカの貧困についてのワークショップを実施

・8/29〜30日

NECTJ2020年大会(米国北東部日本語教師会)オンラインワークショップ「バックワードデザイン/UbDでレッスンプランの作成:概念理解をベースにした探究学習」

・プロジェクトなみあい2021ミュージックビデオ創作

過去の発表活動一覧

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